「犯行直後の健さんの顔もSNSで見ましたが、目に光がなくて…」

この事件で現行犯逮捕された高野健一容疑者(43)は約2か月の鑑定留置を経て刑事責任能力があると判断され、東京地検が5月29日、殺人罪などで起訴した。

送検される高野容疑者(撮影/村上庄吾)
送検される高野容疑者(撮影/村上庄吾)
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佐藤さんは山形市出身、キャバクラなどで働いていたシングルマザーで、ライブ配信アプリ「ふわっち」では愛くるしいキャラクターで人気を博していた。

高野被告は動画配信のファンでもあり、佐藤さんの働くキャバクラにも客として訪れるなど関係を深め、いつしか一方的に金を貸す存在になっていった。

集英社オンラインでは事件当時、♯1〜♯8で詳報したが、この貸借関係がこじれて高野被告は宇都宮地裁栃木支部に251万4800円の貸金返還請求訴訟を起こすなど生活にも困窮。訴訟では支払命令が出たが、佐藤さんは3万円を返したのみ。一方で投げ銭を稼ぐためにライブ配信を続けていた。

「最上あい」こと佐藤愛里さん
「最上あい」こと佐藤愛里さん

そして、「所属事務所社長」なる“フィアンセ”とタワーマンションに住んで豪奢な生活を送る様子をSNSに投稿。これを見て、「余裕があるならお金を返して」とDMを送った高野被告だが相手にされなかった。高野被告の知人がこう証言していた。

「健さんは最上さんとフィアンセが一緒に運営しているSNSのアカウントにDMを送ったんです。『お金を返してください。貸すために借りた消費者金融の借金でもうマイナスで生活ができません。どうにかして1万円だけでも返してくれませんか』って。でも、それも無視されたって言っていました。

ここ最近は(健さんは)『薬をけっこう飲んでしまって一日中寝ちゃってた』とも言っていたし、犯行直後の健さんの顔もSNSで見ましたが目に光がなくて……。事件の前日の夕方、健さんからLINEが来ていて、モンスターハンターで自分の“お気に入り”のキャラクターを送ってくれたんです。それが、健さんが送ってくれた最後のLINEでした……」

高野容疑者と知人とのやりとり
高野容疑者と知人とのやりとり

そして3月11日、佐藤さんは予告通り、ふわっちで「山手線徒歩一周」のライブ配信を始めた。視聴者から贈られた課金アイテム100個ごとにサイコロを振り、出目に応じて「駅前でダンス」「1駅戻る」「1駅ワープ」などをする予定だった。

しかし、高野被告がサバイバルナイフを振りかざし、佐藤さんは30ヶ所以上を刺されて死亡した。

事件発生後の現場の様子(写真/集英社オンライン)
事件発生後の現場の様子(写真/集英社オンライン)