出会い系感覚でアプリをしているリスナーやフリーのライバーがいる
ライブ配信アプリとはトークや楽器演奏、ゲームプレイなどをリアルタイムで配信できるアプリである。配信者はライバー、視聴者はリスナーと言われており、リスナーはライブ配信中、ライバーにコメントをしたり、アイテムを送る「投げ銭」をしたりすることができる。
ライバーは10代〜20代の若い女性も多く、なかには「投げ銭」によって年間で数千万万円稼ぐ人気ライバーもいる。しかし、ライブ配信は気軽にコミュニケーションが取れる距離の近さゆえに、リスナーとライバー間でトラブルに発展するケースも考えられる。
ライバーの育成やマネジメントを行っている事務所「晴ライバーオフィス」社長の前田晴香さんに今回の事件について聞いてみた。前田さんは配信業に関わって9年目になり、自身も過去にライバーとして年間約1億円売り上げた経歴を持つ。
「ライブ配信をよく知らない一部の人は、今回の事件について『だからライブ配信は危険だ』とか、『ライブ配信だからトラブルの元になる』という勘違いをしています。しかし、今回はライバーが容疑者から直接お金を借りていたことが原因で起きた事件であって、ライブ配信がきっかけで起きた事件ではないと思います」
前田さんは、自身の事務所の所属ライバーには個人情報の管理に注意を払うよう指導しているという。
「以前、所属ライバーが配信中に地元トークで盛り上がり、うっかり口を滑らせて、自分の出身校をばらしてしまったことがありました。実家や自宅の住所など、個人情報が特定されかねないことは絶対に配信で話さないよう厳しく指導しました」
殺害された佐藤さんは高田馬場の路上でライブ配信中に“リスナーだった高野容疑者にサバイバルナイフで刺された。これについて前田さんはこう話す。
「ライブ配信はアプリごとに特性やルールが異なっており、危険性の高さから屋外での配信を禁止しているアプリもあります。事務所の所属ライバーにも、現在地がわかるような配信は絶対にしないよう伝えているし、リスナーと直接会うことも禁止しています。
しかし、ライブ配信アプリは誰もが気軽にできるものなので、中には出会い系感覚でアプリをしているリスナーやフリーのライバーがいるのも事実です」