ファンが感じる“年パス廃止”の功罪
東京ディズニーリゾートの年間パスポート、通称「年パス」が廃止されたのは、コロナ禍真っただ中の2020年7月のこと。その後、入園料の値上げが続き、頻繁に通っていたファンからは不満の声が上がっていた。
一方で、ファンの中には「年パス廃止は必ずしも悪いことばかりではなかった」という意見もある。その背景には、“転売”問題が関係しているようだ。
「棚がガラ空きになるほどグッズを爆買いするのは、組織化された外国人業者が多いのですが、日本人の中にも小遣い稼ぎに転売する人はいます。そういう人にとって、毎日でも入場できる年パスは非常にありがたいツールなんですよ。
転売が過熱し始めたのはここ数年のことですから、もし現在も年パスの制度が残っていたら、限定グッズの購入競争はさらに激化していたかもしれませんね」(30代男性・ディズニーファン歴12年)
年パス廃止については、別の観点から理解を示す声もある。それは、SNS、特にTikTokの普及によって急増した園内での撮影マナーに関する問題だ。
たとえば、東京ディズニーランドでは近年、シンデレラ城前がInstagramやTikTokの撮影スポットとして高い人気を集め、多くの若者が撮影に勤しむ様子がSNSでたびたび話題となっている。しかし、これに対し、「雰囲気を壊す」と批判するファンの声も少なくない。
「年パスを再開したら、『いつでも気軽に来られるから』という理由で、こういった層は確実に増えるでしょう。年パスの価格が30万円とかになれば、話は別ですけど。パークをよりよい場所にするためには、マナーや治安のよさも重要。それが損なわれてしまうのなら、年パス廃止は仕方がないかなと」(同前)
筆者は、転売や撮影マナーの実態を確かめるため、実際に現地を訪れてみた。向かった先は、人気キャラクター「ダッフィー」の限定グッズが転売ヤーに狙われ、販売初日には毎回のように混乱が起きているという東京ディズニーシーだ。