建設理由は、市内ダントツの出動需要に対応するため?
今回、千葉県浦安市が新たに消防署の出張所を建設するのは、東京ディズニーリゾートの最寄り駅であるJR舞浜駅から、南東に800mほどに位置する場所だ。
建設業界の専門紙である『日刊建設タイムズ』は2023年6月14日、同施設の建設を報じ、RC造2階建て、延べ床面積約800㎡、当時の見積もりで工事費約5億8000万円など、その内容を詳細につづっている。同記事内では、2023年度内に基本設計をまとめ、2024年度には実施設計を進めるとされていた。
また、2024年10月25日の『日刊建設新聞千葉版』では、前日24日に公告された、新築工事にまつわる家屋事前調査業務の委託事業者を選定する一般競争入札について、予定価格が710万6000円などと報じられている。
建設は2か年だが、前半にあたる令和7年度部分に関しては、、浦安市が今年1月21日に発表した令和7年度当初予算案で、建設の関連経費として約2億5000万円が盛り込まれている。
6月の市議会定例会で工事請負契約議案が提出される予定で、2026年度の完成を目指しているという。
「舞浜地区は消防署や消防出張所が手薄で、別地区からの出動では需要をまかないきれないという事情があります。こうした背景から、出張所を新設するに至ったのでしょう」(浦安市民)
実際に浦安市の消防年報を見ると、令和5年(2023年)中の舞浜地区の救急出場件数は1955件で市内最多。市全体10814件の約2割を占めており、舞浜地区の次に多い当代島地区の1127件と比べても、その多さは歴然だ。
一方で、舞浜地区の人口は、浦安市全体のわずか約2%にすぎない。この点を踏まえると、救急出動の需要は住民よりも、東京ディズニーリゾートの来訪者によって高まっている可能性があると考えられる。
こうした点から、今回の舞浜出張所の新規建設は、東京ディズニーリゾートのために行なうようにも見えるが……。
この疑問を解消すべく、取材班は浦安駅から徒歩約20分の場所にある浦安市消防本部を訪れることにした。