頼みの綱の風力発電も暗礁に乗り上げる
再エネの中で将来性に期待されていたのが風力発電だ。海に囲まれた日本は洋上風力にうってつけの地理的条件があり、太陽光と違って昼夜を問わず発電できる。太陽光発電やバイオマス発電などと比べて、エネルギーの変換効率が高いというメリットもある。
しかし、ここにきて暗雲が漂いはじめた。三菱商事が国内洋上風力発電事業で、2024年度に522億円もの減損損失を計上したのだ。
風力発電は国が定める「促進区域」のみで開発を進めることができるが、2021年に指定された3海域は三菱商事が総取りしていた。ところが2022年以降に急速にインフレが進行。風車などの風力発電に必要な資材は2倍近くにまで価格高騰が進んだ。採算がとれなくなってしまったのだ。
これを受けて三菱商事は計画を見直すと発表している。
実は三菱商事は風力発電の建設そのものをまだ行っておらず、調査や設計などによる建設前の損失を出したに過ぎない。だが、計画を見直すということは、建設が進まない可能性も浮上したということだ。
風力発電は再エネの切り札とも見られており、プロジェクトの中長期的な停滞は許されない。結局のところ、電力の買取価格を引き上げればこの問題は解決する。つまり、資材高の影響を再エネ賦課金の引き上げで補填すればいいわけだ。
しかし、それが高額な電気代として、庶民に跳ね返ることになる。そうした未来が視野に入ってきたのだ。
海外に目を向けると、アメリカはトランプ政権下でパリ協定からの離脱を表明した。2026年1月に正式離脱するという。2020年における世界のCO2排出量のうち、アメリカは13.6%で第2位だ。日本は3.2%に過ぎない。
アメリカが石油や天然ガスの増産を目論む中、もともとの排出量が多くない日本が脱炭素を推し進めることにも違和感が残る。インフレ下で苦しむ庶民たちは、きれいごとで押しつぶされそうな状況にある。
再エネのあるべき姿を、もう一度見直す時期にきている。
取材・文/不破聡 写真/shutterstock