食料品の負担は1割増加

総務省の「家計調査」によると、2024年における一世帯当たりの食品への支出総額は年間およそ89万円。2019年比では約7万円増加したため、1割近い増加である。一方、年間支出総額は300万円ほどであり、2019年の299万円とほとんど変化していない。

一方で、衣服への支出額は4万6000円から3万8000円台まで、パック旅行費は4万円から2万6000円程度まで下がった。食料品が高騰する裏で、切り詰めた生活を送る人びとの姿が浮かび上がる。

キャベツの高騰は平年の約3倍となっている
キャベツの高騰は平年の約3倍となっている
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ガソリンや電気代も高騰し、多くの人が無駄な支出を節約して生活費を捻出しているのが実情だ。

日本銀行は2025年1月の金融政策決定会合で利上げを決定した。その要因として、植田和男総裁は賃金と物価の好循環を確認したことを挙げている。物価上昇に見合う賃上げがなされていると判断したというわけだ。

確かに賃上げは進んでいる。2024年春季労働交渉において全産業のアップ率は1991年以来となる5%を超え、月額1万9210円の上昇となった。2025年の春闘では電機大手各社の労働組合がベースアップ相当分として月額1万7000円を求める要求書を提出した。

しかし、賃上げが進むのは大手企業ばかりなのも事実だ。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の平均賃金は月33万円。2020年の30万7000円と比較して7%ほどしか上昇していない。消費者物価指数も2020年を100とすれば、2025年1月は111.2だ。物価高に賃金上昇率が追いついていないのが現状と言える。

さらに日銀が金利を引き上げると、変動金利型の住宅ローンの金利も上昇するため、借り手の負担が増す。

まるで庶民だけが置いてけぼりにされているかのようだ。