LGBTQが集まるシェアハウス
単身だけでなく、パートナーがいたとしてもパートナーシップ制度の採用などには地域差もあり、老後のロールモデルが少ないため、将来の不安にかられている人は多いだろう。
そんな、LGBTQ当事者たちが多く集まることで知られている東京・新宿二丁目。
そこで「認知症サポーター養成講座」などを開催し、「多様性を包摂(ほうせつ)し、いろんな立場の人同士で助け合う」ことを目的としている団体が、「NPO法人コラルト」だ。
代表者の「たいこん」さんこと山田泰輔さん(57)は、自らがLGBTQ当事者であり、シニア世代に足を踏み入れた立場として、実体験を踏まえ、よりよいコミュニティの作り方について発信している。
たいこんさんは、2005年から都内の一軒家にLGBTQ当事者の男性のみでシェアハウス生活をしている。現在の住人は4人で、最大時は6人が共同生活をともにする。これまでで20人ほどが入れ替わりで住んでいたんだとか。
「やはり家賃の負担が減ることがありがたいということで、同じ考えの者同士で住み始めました。だんだん手狭になり、現在の一軒家に移ってきたのが2009年。
リアリティーショーの『テラスハウス』みたいな恋愛要素はほとんどなくて(笑)、年齢も職業もバラバラだし、干渉し合わない関係を保てる人たちがこれまで住んできました」(たいこんさん、以下同)
「みんないい歳の人間ばかり」と笑いながらシェアメイト(同居する人たち)を語る彼は、シェアハウスで得られる安心について話しを続ける。
「シェアハウスを始めたころは私も30代で、ギラギラしていましたし(笑)、ゲイって自由気ままに生きたいという人が多いから“シェアハウスをする、している”といったら、“なにそれ!?”なんて奇異の目で見られたりしていたものでしたね。でも、今は反対に羨ましがられています。
この年齢になった今、大切なのはお金より安心感ですから。
生活のリズムもバラバラではありますし、深く踏み込まないけれど、ここにいると、『いってらっしゃい』『おかえり』という、言葉のお守りを渡し合うことができる。本当にありがたいです」