自分以外は傷つかない唯一無二の毒舌

――エッジの効いた毒素満載なネタが持ち味のしんいちさんですが、優勝して“強者”になったことでネタの作り方は大きく変わったのでは?

優勝前はウケていたネタが、優勝後には一切ウケなくなることが増えました。例えば、「お金配ってるときだけフォロワーが多いあの社長好き」というネタがあるのですが、お客さんの頭に「おまえもお金持ってるやん」と浮かんでしまうため全然ウケません。優勝したことによる影響は本当に大きいです。

最近までネタ作りや立ち回りにずっと悩んでいたのですが、本当にここ1か月で自分なりの戦い方が見えてきました。

――その戦い方とは?

毒を吐いているフリをしながら自虐する感じです。以前出演した番組で話したエピソードなのですが、ある日「テレビ番組に出演したグラビアアイドルが『しんいちさんに狙われているんです』と話していたので、宣材写真を使わせてほしい」という連絡がスタッフさんからありました

――そういった発言をする若手のグラビアアイドルさんは多いですね。

もちろん「OK」を出したんだけど、僕はそのグラビアアイドルさんとはすでに大人の関係になりました。断じて狙っているわけではありません。ですので、「大人の関係になったことを伏せて“狙っている男”のフリをしなければいけないの、本当にツラいんですよ」と悔しさを話しました。
 

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――大人の関係を認めた上で……新しい角度のエピソードトークに感じますが、現場のリアクションは?

僕も挑戦的なトーク内容だと思ったんですが、自分の予想以上にウケました。一見グラビアアイドルさんに毒を吐いているようで、最終的には「しんいちが最低」というオチになっています。グラビアアイドルさんの名前を出しているわけでもありません、僕だけ傷ついてウケをとることができ、手ごたえを感じました。

――ある意味“(しんいちさん以外は)誰も傷つけない笑い”という今の時代にフィットしたスタイルでもあります。

サンドウィッチマンさんと一緒のライブに出演して、舞台上で富澤(たけし)さんから「とりあえずしんいちのせいにしておけば全部丸く収まるよな」と言われたとき、会場は大爆笑が起きました。僕が損することで笑ってくれる人は多いと思うので、その辺りを上手く活かしたいです。ここまであけっ広げに話すと、今後やられ役になった時に素直に笑ってくれるのかは不安ですけど(笑)。