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一番辛かった懲罰房での日々

刑務所暮らしの感想を聞くと、田代は「とにかくキツかった。1日1日の時間が長かった」と振り返った。
そのなかで、もっとも辛かったのが懲罰房に入れられたことだという。懲罰房は刑務所内で規則に違反した受刑者が入る、まさに“無”が広がる空間だ。しかし、入れられた理由については、田代は未だに納得がいってないようだ。

「心を入れ替えるために『般若心経』を覚えようと、経文が書かれた紙を居室の壁にご飯粒で張ってたんです。でも担当の刑務官に見つかってしまって。

『ご飯粒は食べるためのモノだろうが!』って言われたから、『おとぎ話の“舌切り雀”はおばあさんの障子張り替え用のご飯粒を食べてしまったから、舌を切られてしまったんです』というと『オメー、屁理屈言ってんじゃねえぞ、コノヤロウ!』と1週間の懲罰房行きとなりました……」

インタビューに応じる田代まさし(撮影/集英社オンライン)
インタビューに応じる田代まさし(撮影/集英社オンライン)
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懲罰房は一切外に出られず、誰との会話も許されない。それどころか寝食やトイレ以外は延々と正座かあぐらをし続けなくてはならない、心身ともに過酷な場所だ。

「シーンと音のないところで、お尻も痛いなか一瞬たりとも動いたらいけないんですからキツイですよ。見回りがいない隙に足を崩したり軽く腰のストレッチをしたりはしますが、孤独だし、気が狂わないようにひたすら自分自身と戦う時間が続きます。そこに1~2日ならまだしも1週間ですからね。気が遠くなる時間でした」