「ストリートライブ1000回」を目標にした女子高生
――『明日への扉』でデビューして、20年が経ちました。デビュー当時のことは憶えていますか?
川嶋(以下同) 当時は高校生でしたが、ストリートライブを1000回することを目指してひたすら路上で歌っていました。活動を続ける中で、徐々にお客さんが増えて、さらに最初はお客さんとして聞いていた人たちがボランティアとして加わってくれました。いろいろなサポートや応援のおかげもあり、『あいのり』(フジテレビ系)の主題歌を任せていただき、本当にうれしかったです。
――現在、川嶋さんが所属するつばさグループを運営する株式会社つばさエンタテインメントの取締役・福原慶匡氏も、かつては川嶋さんのボランティアだったそうですね。
そうですね。今思い返すと本当に奇跡のような出来事の連続でした。最初はひとりで始めたことなのに、少しずつ携わってくれる人が増えていきました。また、当時出会った人と今でもつながっていることを考えると、そのことは強く感じます。
――そもそも、ストリートライブを見て「この人をボランティアとしてサポートしよう」と思わせる、そのカリスマ性がすごいです。
いえいえ、当時のボランティアの人からは「マッチ売りの少女みたいだった」「なんか助けてあげたくなった」と今でもよく言われます(笑)。
――当時からずっと気になっていたのですが、なぜ川嶋あいではなくaiと名乗ってデビューしたのですか?
当時、「ストリートライブを1000回実施」を目標にしていたことが大きいです。川嶋あいとしてデビューしてしまうと路上に多くの人が押し寄せることでストリートライブを続けることが困難になるため、スタッフと話し合った結果、aiという名義にすることを決めました。
――『明日への扉』リリース後に、ストリートライブを聞いている人から「もしかして?」と思われることもあったのでは?
ありました。「I WISHのaiさんですよね?」と聞かれることはあったのですが、バレるとライブを続けられない可能性があり、そのたびに「違います」と嘘をつかなければいけなかったのが、本当に心苦しかったです。ただ、ほぼ毎日ストリートに立って、約3年かけて1000回のストリートライブを無事に達成できた後、aiであることを公表できてホッとしました。