属性付与が偽りのつながりを作る

属性付与のみならず、親が子どもに何かを命じた時に、子どもが親に反発しなければ「偽りのつながり」(false conjunction)が形成される。子どもが親に反発しなかったら、一見よい関係が築かれるが、子どもは親に依存しているだけで自分の考えを持っていないか、持っていても親に従ってしまっている。

子どもは幼い頃は親の保護がなければ生きていくことはできないが、やがて子どもは自立していく。ところが、この「真の背離」(real disjunction)を認めようとしない親は、自分に都合のよい解釈をして、子どもを自分のもとに留めておこうとする。子どもが親を好きではないといっても、本当は好きなのだと解釈する。

我が子を「頭のいい子」とほめることの罪…相手に「属性」を与えることが強制や命令となって関係性を悪くする危険_3

子どもが親から離れようとしていなくても、本来親と子どもは独立した人格であり、分離した存在である。それなのに、属性付与を行うことによって「偽りのつながり」を作り出し、親と子どもの間には何の隔たりもないかのように見せる。

親子関係に波風を立てたくないという理由で、親に従う子どもはいる。そのような人は好きな人と結婚しても親に反対され祝福してもらえなければ意味がないと、好きな人よりも親を選ぶことがある。

子どもは自立しなければならないが、そのためには意識的な決断が必要である。偽りのつながりを断たなければならない。