性産業の危険なビジネスに巻き込まれないために
幸乃の例からわかるのは、発達障害だけが風俗で働くきっかけになっているわけではないということだ。
劣悪な環境で育った彼女は、家の中で居場所がなく、親やきょうだいからも適切な愛情を受けてこなかった。そして発達障害ゆえに学校でいじめられ、社会とのつながりを絶たれた。そんな彼女は性欲をきちんとした形で育むことはできなかった。
それゆえ、女性用派遣マッサージ、アダルトビデオ出演、そして風俗といったビジネスに流れていったのだ。そして、そこには彼女のような女性を受け入れる余地があった……。
こう見ていくと、幸乃のような女性が危険なビジネスに吸い込まれないようにするには、家庭環境の悪い発達障害の人たちを、いかに早い段階でセーフティーネットにつなげられるかが重要になる。大人になれば、すべては自己責任という意見もあるかもしれない。しかし、違法なスカウトマンに「発達障害の子は狙い目」などと言わせる社会が健全なわけがない。
だからこそ、なぜそういう状況が起きてしまうのか、そこまでの問うプロセスと現実に目を向け、改善に取り組んでいく必要があるのではないだろうか。
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取材・文/石井光太
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