スマホ依存やうつ病の治療のために、今こころに最も必要なのは、「対話」

「嫌だけど、我慢して働いているんですね」
「こんな気持ちが先輩や周りにも伝わってしまうんでしょうか。だんだんみんなと距離ができてしまいました」
「お母さんも看護師さんでしたね。こころさんの考えていることをお母さんにも話してみてはどうですか?ハラスメントのことは話さなくてもいいから、親子でそういう話をしてみるのもいいかもしれませんよ」

うつ病のきっかけになったのは職場のハラスメントかもしれないが、ハラスメントがなくなってもスマホ依存はなくならないだろう。スマホ依存がある限り、うつ病のリスクは高いままだ。

スマホ依存やうつ病の治療のために、今こころに最も必要なのは、「対話」である。自分の内なる声に耳を傾けることが治療の第一歩だ。

認知行動療法という治療法があるが、これも自分の感情を紙に書き出したり話したりすることで明確にすることが不可欠だ。つまり、何が悲しくて何が嬉しいのか、今何を感じているのかに目を向けない限り、自分の思考の癖や思い込みを変えていくことはできない。

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スマホ依存症はスマホを取り上げたり、薬を出したりするだけでは解決しません

私は、こころに血液検査に行ってもらい、今度は母親だけに入ってもらった。母親には、「毎日こころと話をする時間を作ってほしい」とお願いした。

「それでスマホ依存が治るんでしょうか?」

母親はいぶかしげだった。

「前の病院で出されたうつの薬が合っていないみたいなので、別の薬を出してもらえませんか?」

だが、私ははっきりと言った。

「スマホを取り上げたり、薬を出したりするだけでは解決しません。時間をかけて家族で取り組むことが大切なんです。こころさんは、お母さんと同じ看護師として、ここまで頑張ってきました。どんな苦労があったのか、どんな思いがあるのか、聞いてあげる時間が必要なんです」

SNSでのやりとりやマンガに没頭しているかぎり、こころの意識は外に向かい続ける。感情を言葉にして誰かに伝えることで、初めて自分の中にある感情と向き合うことができる。