個人のプライバシーを暴く“盗聴”。かつては高価な機器を揃え、ターゲットに知られずにその身辺に仕掛ける必要があったが、昨今のスマートフォンを使った“盗聴”はそうしたハードルも低くなり、それを使って、恋人の浮気、配偶者の不倫の証拠を押さえたいという人もいるようだ。
また仲間の陰口や内緒話がバレたり、個人情報を盗まれたりもする。今回スマホや盗聴に詳しい、月刊誌「ラジオライフ」の小野浩章編集長に話を伺った。
彼の行動を記録することから始まった“スマホ盗聴”…
──最近では古くからある盗聴専用器の代わりに、スマホが使われるようになったとか。具体的にどういったものなのでしょうか?
手口としては2つあって、まず1つはターゲット(他人)のスマホに盗聴できるアプリをこっそり仕込むやり方で、もう1つは自分のスマホ自体を盗聴器として利用するやり方です。
──スマホにアプリを仕込む盗聴はいつ頃からあるのでしょうか?
おそらく2011年頃にあった監視アプリの『カレログ』が、スマホを使った本格的な盗聴の始まりだと思います。『カレログ』は、交際している男性のスマホの情報を、その彼女に通知するというAndroid専用のアプリです。
もちろん、彼女の浮気を疑う男性が使用することもできますが、カレ(彼)を、ログする(記録する)という意味からそのような名がつけられています。
彼(ターゲット)のスマホにアプリをインストールすると、パソコンのウェブサイトを通じて、居場所が分かるため、浮気防止に役立つと話題になりました。
また、端末のバッテリー残量も把握できるため、「電源が切れちゃってさぁ」というお決まりの言い訳が通用しません。
このアプリは会員制で、初期にはプラチナ会員になると(彼の)通話記録を見ることができるなど、浮気男性にとっては脅威のアプリでした。
しかし、2015年に『カレログ』の上をいくアプリが開発されています。インターナルという会社が作った『iPhoneアナライザー』と『Androidアナライザー』です。
この2つの製品は、アプリをダウンロードした端末のバックアップデータを取っておくための管理アプリで、パソコンで閲覧することが可能です。
これらが『カレログ』と違うのは、遠隔操作でカメラ機能を起動させて写真を撮影したり、会話を録音したり、過去の位置情報や通話履歴をチェックできる点です。
加えて、多くの人がコミュニケーションツールとして利用しているLINEのやり取りを見ることができるため、浮気の証拠はもちろん、行動や言動が丸分かりになってしまいます。浮気、不倫常習者にとっては包囲網が敷かれている状態です(笑)。
もちろん販売元はスマホの紛失、盗難の防止や、子どもの見守りなどが目的ということを謳っていますが、ユーザーの間でいつの間にか「浮気監視アプリ」とか「LINEチェックアプリ」として広まりました。