損か得かの計算ばかりしている人は、最終的には損をする

それこそ社長時代には、大きな選択を目の前にすると、どちらを選ぶかで会社全体に与える影響がまるっきり違ってきますから、利益の計算や判断の軸は明確に持っていなくてはなりませんでした。

そして、それが短期的な損得ではなく、長い目で見て会社にとって必要かどうかということを、いつも一番に考えていたものです。

目先の利益は上がるかもしれないけれど、長期的スパンで見て会社には不要なものであれば選ばないのが普通ですし、反対に一見損な投資のようでも、10年、20年先の会社の将来を考え、不可欠と思えば、それを選択するのは当然です。

損か得かの計算ばかりしている人は、最終的には損をすることのほうが多い人生になるかもしれません。

最終的には、自分がやりたいかどうか、その〝ものさし〞をもっと積極的に使うべきでしょう。そうでなければ、満足のいく人生にはならないでしょうし、納得のいく仕事もできないものです。

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