なぜ人生や仕事は、計算通りにいかないのか
なぜ人生や仕事は、計算通りにいかないのか。それは名人の将棋とは違い、何手も先のことは読めないからです。プロの棋士は何十手も先を読むといいますが、普通の人間は、一手先すら正しく読めないのです。
とくに気をつけなくてはならないのは、目先の得に囚われたり、自分の損を回避することばかりに気をとられることです。
たとえば、部下と飲みに行ったときに、一切おごらなかったり、何か問題が起こったときは、いつも部下に責任をかぶせたりする人もいます。
人にはお金を一切出さない吝嗇ぶりも、常習的な責任回避の行為も、自分が損することを避けるため行うことです。
自分にとって必要かどうか、社会にとって有益か否か
しかし、自分が得だと思って選んだ行為が、次にどのような影響を及ぼすかについては、気がまわらないのです。
得したいという欲が強すぎると、まさに「欲に目が眩む」で、視野は狭くなり続け、自分の周りから人が離れていくでしょう。
もちろん、得するほうを選びたいという気持ちは誰もが持っているはずですが、それが強すぎると、大事なことがすっぽり抜け落ちてしまうものです。
日々こなす仕事は、小さな選択の連続です。そのとき、こちらを選ぶと得だとか、あちらへ進むと損するからやめようといったことをいちいち細かく考えることは、私は一切しません。
損か得かというレベルでとらえるのではなく、自分にとって必要かどうか、社会にとって有益か否か、面白いかつまらないかが「選択の軸」です。