「ネットで話題」は、本当に話題?
ドナルド・トランプ氏が勝利した2016年のアメリカ大統領選挙や、コロナ禍のトイレットペーパー不足のデマなど、フェイクニュースが世界で社会問題となっている。
法政大学社会学部の藤代裕之教授(ソーシャルメディア論)は「フェイクニュースの要因は、『こたつ記事』という記事制作手法にある」と指摘する。
日本では2010年後半以降、インターネットメディアが低コストで手間と時間をかけずに手っ取り早くPV(ページビュー)を稼ぐために生み出したこたつ記事が世に氾濫している。藤代教授はこう説明する。
「例えば、『番組でタレントAが〇〇は△△と発言!ネット上で話題に』という記事をよく目にしますよね。発言したことが事実でも、『〇〇が△△である』の真偽について確認していないことが多いでしょう。
『ネットで話題』というのも、はたしてツイッターに何件の投稿があったのかきちんとデータを示している記事はありません。ライター自らがSNSに書き込んで捏造することだって可能なわけです。
検証がなされないまま新聞やテレビなどの既存メディアもニュースとして取り扱った結果、『話題になっている』ことが事実化する。そうしてフェイクニュースや世論工作といった問題が起きてしまうのです」