「逆転負けが一番辛い」
――一番辛かった勝負って覚えていますか?
里見 それは覚えてないんですが、逆転負けは辛いですね。最近も西山朋佳さんを相手に必勝態勢から逆転負けをしたので、それが一番手痛い。
藤沢 私も逆転負けが一番悔しい。たくさんありますが、特に17歳のときの第34期女流本因坊戦で謝依旻先生に2連勝から3連敗して失冠したときは長いこと切り替えられなくて、夢にも出てきました。
里見 うれしかった対局はあまり思いつきませんが、初タイトル(倉敷藤花)を取った時は、初めてでしたし、応援に来てくれた家族が喜んでくれたので、嬉しかったです。
藤沢 勝った時はどちらかというとホッとした感じですよね。
里見 藤沢さんは(2020年の)男女混合の公式棋戦「若鯉戦」で、女性として初めて優勝されてますよね。新幹線の入り口ドア上の電光掲示板のニュースで知ったんですが、それが衝撃的で。将棋界では考えられないこと。やっぱり女性の活躍ってすごく嬉しいし、励みになりました。
藤沢 そう言っていただけて、すごく嬉しいです。
――9月に行われるアジア競技大会ではマインドスポーツとして囲碁が採用され、その日本代表に藤沢女流本因坊が選ばれています。
藤沢 スポーツ選手と同様、ジャージを着て対局するんです。来月からはドーピング検査もあって。大会自体はすごく楽しみです。
――藤沢さんの祖父の藤沢秀行名誉棋聖は「勝負についてわかっているのは百のうち六だ」という名言を残しています。おふたりはそれぞれの競技についてどのくらいわかっていますか?
藤沢 1……いや、0かもしれない。まだまだ未熟なので少しでも強くなりたい気持ちです。
里見 私も将棋について全然理解できていません。すごく奥が深いので自分の棋力を少しでも上げて、なるべく将棋のことを理解できるようになりたいです。
取材・文/内藤由起子
集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/小木寛一
撮影協力/アカシヤ書店