誰かのせいにしたっていい
自分の性格の大部分が決定するは幼少期だと思っています。生まれながらに備わっている気質の部分はもちろんありますが、その時期のトラウマや〝親にどう接されていたか〟で、その気質の使い方が良い方向にも悪い方向にも変わると思っています。
何か落ち込むことがあったとき、全てを自分のせいにすることで「私が悪いのだから仕方ない」と思うようにしていました。
実際、誹謗中傷で悩んでいたときも他のメンバー全員と私を比較し悪口を書く人が圧倒的に多く、「お前だけが悪い」といつも言われていました。
「私はダメな人間だから」「どうせみんなから嫌われる」「頑張ったって褒められないし無駄」。
そう思えば思うほど、気持ちが孤立していくような感覚が強かったです。だからこそ強がってしまう部分もあったし、性格悪い行動してるな、と感じる部分もあり、さらに自分のことが嫌いになりました。
でも、うつになってアイドルをやめた後や、コロナ禍で時間ができたとき、私は何度も自分と向き合い、なぜ、自分はこういう性格になってしまったのか? どうでもよくなってしまうスイッチはなんだろう、と考えるようになりました。
そして、母に連れられて精神分析を行ったことがあり自己肯定感の低さは家庭環境によって作られたものだと気づいたんです。
親や誰かのせいにしていい、そう言ってもらえたようで、心が少し楽になりました。
自分は一切悪くないと開き直ったり、他者に責任を押し付けるだけでは何にもなりませんが、自分のダメな部分の原因を解き明かし、一部分だけでも誰かのせいにすることで少しでも自分自身を許してあげないと、一生自分を認められなかったと思います。
大人なんだから自分で考えて行動できるでしょ、なんてよく言われるかもしれません。でも、大人だって、誰かの子供です。一人で全て解決できるのが当たり前なわけじゃありません。
子供の頃のトラウマを抱えたまま大人になってしまったからこそ、自分自身への自信を取り戻せず、自分を愛せないこともあります。
親だって誰かの子供だったわけで、完璧なわけでなく失敗だってします。自分がなぜこうなってしまったのか、親はなぜこういう態度だったのか、それには全て理由があり、少し知るだけでも変わることはたくさんあります。
文/最上もが 写真/桑島智輝
#1 父のリストラをきっかけに母から「あんたが働いて」と言われてアイドルへ。社会不適合者だった最上もが。バイセクシャルへの思いも語る はこちら