コスト増、立地など要因はさまざま

だが現実的には、まだまだ北海道以外が発祥のチェーン店の道内シェアは高くない。味の好みの問題もそうだが、それ以上に参入障壁の高さが一因としてあるようだ。

「北海道に向けて原料を運ぶ物流コストが最大のネックとなっていますね。チェーン店の営業となると、スープや具材をセントラルキッチン方式(メニューをひとつの工場で作り各店舗まで届ける方式)で作り、各店舗まで運送するやり方が一般的ですが、本州にある工場から北海道へ運ぶとなると運送費が跳ね上がってしまいます。かといって道内で工場を作ろうとしても、複数の店舗を出店させないと採算が合わないですし、何より1店舗目がコケてしまうとその後の道内展開がしづらいという側面があるのです」

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道内シェア獲得のためには、出店場所も間違ってはいけないという。

「利用者の多い駅前で店を構える場合は、客足の多い繁華街や一等地への出店が成功の条件なのですが、札幌市の駅前の場合、いい立地はだいたい地元の有力店がすでに出店してしまっている状況です。現に撤退してしまった天下一品は、すすきのの繁華街から少し離れた場所に出店してしまったので、上手く客を誘導できなかったのでしょう。物流コストと出店場所というこの2つの問題で、本州発のチェーンは初手からつまずいてしまい、苦戦している印象です」

ちなみにラーメン激戦区で知られる札幌市だが、市民ひとりあたりのラーメン消費量は意外にもそこまで高くない。
総務省実施の2020~2022年平均の家計調査を見ると、札幌市の「中華そば」消費量は21位と微妙な順位だ。

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「札幌のラーメンは専門店ではなく食堂ベースで提供され、普及していった歴史があるので、道民の若者においてはチェーン系ラーメンへの『美味しくない』という先入観は大きいかと思われます。そういったチェーン店に対して否定的な捉え方をする人の割合が多めなのも本州発のラーメンチェーンが苦戦する理由かもしれないですね」

北海道はラーメン店舗数のわりに消費量は少ないこと、チェーン忌避の空気感があることを踏まえると、本州発チェーンは想像以上に厳しいように思えるが……。

「先ほどお伝えしたように駅周辺の一等地は既存の人気店が陣取ってしまっていますので、本州発のチェーン店が活路を見い出すとしたら交通量の多いロードサイドへの出店でしょう。北海道は本州以上の車社会。車で気軽にラーメンを食べに行きたいと思う道民は多いので、ロードサイドのいい立地に出店するというのが、進出成功のカギを握っているでしょうね」