味のカスタマイズがカギとなる?
やはり北海道以外のラーメンチェーン店が道内に出店するのは一筋縄ではいかないようだが、実は道内で絶大なシェア獲得に成功している本州発チェーン店もある。
「それは『山岡家』です。現在道内で約50店舗も展開しています。パンチのある豚骨スープに中太麺が絡み合う山岡家のラーメンは、北海道っぽくない味わいだったことから一部の道民に刺さり、熱狂的な支持を得ることができました。またロードサイド店舗への出店も積極的であり、広い駐車場も完備している店も多く、友人、家族で行きやすいこともヒットの秘訣だったのではないかと思います。
そして昨年末に進出してきた丸源ラーメンも、ロードサイドの好立地を確保しているのです。丸源ラーメンが出店した菊水元町店は、十字路の交差点沿いに位置し、駐車場も広めですので、集客力は申し分ありません。また、看板メニューの肉そばはあっさりとしつつも、パンチのある味わいとなっており、札幌民にとっては新鮮な味。
これも特筆すべき点として、卓上調味料の豊富さにも驚きました。どろだれラー油、揚げにんにく、酢など味変できる卓上調味料が丸源ラーメンにはありますが、札幌のラーメン店にはそういったものはほとんどありません。ラーメンをカスタマイズできることは、エンタメ性があるので物好きな道民はハマるんじゃないですかね」
味をカスタマイズできるというポイントは、札幌において肝になってくるかもしれない。
たとえば、道内有力チェーンである味の時計台は、近年「魂心家」という家系ラーメンブランドを展開しており、家系ラーメン店らしく卓上調味料が並ぶ光景が印象的であった。提供されたラーメンをそのまま食べるのではなく、味変しながら自分好みに仕上げるという文化は道民には目新しく映る可能性も充分ありそうだ。
「多くの人がやみつきになる味わいで、かつ気軽に来店できる立地にあれば、本州のチェーン店でもちゃんと勝算はあるはずです。ゆくゆくはさまざまなラーメン店が参入して、札幌の、ひいては北海道のラーメン業界を盛り上げていってほしいですね」
取材・文/文月/A4studio