深刻な教員不足も遠因
しかし、懲戒処分にならないような事件は、インターネット上に記録が残る可能性はほとんどない。それゆえ、生徒や親が事実を把握するチャンスはゼロに等しいといえるだろう。
さらに、前出の校長は言う。
「もうひとつ懸念しているいのは、性犯罪を起こしても表に出てこなかったり、保護者との話し合いで示談になっていたりするケースが少なからずあるということです。そうなると先生は処分の対象にすらなりませんし、管理職ですら把握できないこともあります」
現在、学校では教員不足が深刻な問題になっている。教員のなり手がいなかったり、産休や病欠等が多かったりして、学校運営が回らない状況が起きているのだ。地域によっては闇雲に教員をかき集めざるをえないことになっている。
――うちの学校の先生が以前、性犯罪を起こした人なんです。
そんな言葉が飛び交わないようにするためにも、国は学校を子供にとって安全で安心な空間にする努力をしなければならないだろう。
取材・文/石井光太