性犯罪歴があっても復職できる
では、性犯罪を起こした教員は、どのような処分を受けているのか。
前出の資料によれば、処分対象者216人のうち、免職は119人、停職は50人、減給は21人、戒告は2人、訓告等は24人だ。
考えなければならないのは、これが意味するところだ。
懲戒免職を受ければ、その教員は教員をつづけることができなくなる。つまり、約半数は教員という職業を辞めざるを得ない状況に追いつめられているのだ(ただし、その後、民間の学習塾などに転職するケースも少なくない)。
だが、停職、減給などといった処分には、教員を辞めさせるだけの強制力がない。加害者である教員が、自ら反省して自主的に職を辞さない限り、学校の教壇に立ちつづけることが可能なのだ。
彼らはどのように教師として復帰しているのか。先の校長は次のように語った。
「先生がわいせつで処分を受ければ、しばらく仕事を休むことになります。処分が下りても、その年度中に顔を出すことはありません。学校側としても、そんな先生を生徒の前に出すリスクをわかっています。
なので、一般的には処分が明けると同時に、先生は別の学校に転勤になります。そうなると、彼らは自分が事件を起こしたことを知らない先生や生徒の中で一から教員生活をスタートできるのです。
とはいっても、先生たちの世界は狭いので、同じ県内だといつかは噂になって、そういう場合は他県へ移ってそこで教員をやる、というケースがあるようです」
本記事で書いた冒頭の教師の場合は、インターネットの掲示板等に、実名と共に性犯罪をしたという記録が残っていたそうだ。だから、生徒や親がそれを検索し、事実をつかむことができた。