なぜフルタイムの共働き世帯が増えないのか?
では、どうしてフルタイムの共働き世帯が増えていないのでしょうか?
この理由について、エコノミスト誌が指摘するように「いまだに家庭と仕事のどちらかを選ばなければならない状況にある」からだと筆者は感じています。
これも国際比較しているデータを基に話します。
この図にある有償労働時間とは、賃金の発生するいわゆる僕らのイメージする「仕事」です。それに対し、無償労働時間とは家事や育児などを指します。家事や育児を労働と表現するのは違和感があるかもしれませんが、社会学では「無償労働(unpaid work)」と表現します。
世界的に男性より女性の方が家事時間が長い傾向があります。また日本の女性の無償労働時間が長いというより、男性の有償労働時間が長いという方が自然かもしれません。この点は日本と韓国に共通しています。
次に令和2年度のデータとなりますが、夫と妻の家事・育児時間の国際比較を見てみても、やはり日本は妻と夫の家事・育児時間の差が顕著です。
これらのデータは当然、東京などに在住するフルタイムの共働き世帯だとしっくりこないデータかもしれませんが、日本全体としては未だに女性が「仕事か家事」を選択しなければいけない現状を表していると思います。