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日本は共働き世帯が30年前から増えていないという真実
先日、イギリスの経済誌「エコノミスト」が先進国を中心とした29か国を対象にした「女性の働きやすさ」ランキングを発表しました。日本は、7年連続ワースト2位。最下位は韓国で、こちらも7年連続1位という結果が続いています。
エコノミスト誌は、日韓の両国は「いまだに家庭と仕事のどちらかを選ばなければならない状況にある」と指摘しています。これに対して、多くの人は「日本もかなり共働きが進んでいるし、そんなことないのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、日本において共働きが進み、共働き世帯が増えたというのは、少し誤解をもたれています。多くの人のイメージでは、「フルタイムの共働き世帯が増えた」という認識かもしれませんが、フルタイムの共働き世帯の数は、実は30年ほどほぼ変化がありません。増えたのは「パートタイマー」というのが事実です。
図で見るとわかりやすいので、「男女共同参画白書 令和4年度」のデータを見てみましょう。まずは、よく見る共働き世帯が増えたという主張の際に利用される図からです。
この図を見れば、確かに男性雇用者と専業主婦の世帯が減り、共働き世帯が増えているように見えます。では、次に同じ「男女共同参画白書令和4年度」にある共働き世帯の内訳を細かくした図を見てください。
黄緑色のグラフが、妻がフルタイムの世帯の数です。1985年が461万世帯となっており、2021年は486万世帯です。ほとんど変化がないどころか、1994年をピークに2015年くらいまでは減り続けていたことがわかります。
それに対し、妻がパートの世帯は基本右肩上がりとなっています。つまり、日本は30年前からほとんどフルタイムの共働き世帯は増えておらず、「男性の賃金が上がらず、不足する部分を補うようにパートタイムで働く女性が増えた」というのが正しい認識ではないでしょうか?
これを「共働き世帯が増えた」と表現するのは、個人的には正確な表現ではないと感じます。