ケア労働をどうやって減らすのかが課題
これまでのデータを見て感じる点は、まず日本の男性は他国に比べて有償労働の時間が長すぎるという点です。男性が長時間労働するライフスタイルとは、それを支えてくれる人がいなければ成り立ちません。今現在、日本はこれを配偶者である妻が負担しているということですね。
次に女性のケア労働を減らす必要があると感じます。ケア労働とは「育児、介護」です。日本は、ケア労働は家族がするという認識が強いと感じます。
詳しい説明は省略しますが、社会学者のアンデルセンは福祉国家には3つの形があるといい、その形は「政府、市場、家族」の組み合わせで成り立ちます。北欧社会は政府の比率が大きく、アメリカなどは市場の比率が大きく、日本はどちらかと言えば家族の比率が大きいです。
もし家族の負担を減らす場合、政府の比率を増やすのか、市場の比率を増やすのか、という選択肢が考えられます。筆者は政府の比率を増やす方が良いと思っています。
理由として日本は移民に対してポジティブではないからです。市場を利用するというのは格差を利用するということでもあります。ケア労働を外注するとしても、料金が高ければ誰もが利用できませんので、安い労働力を見つけて働いてもらう必要があります。つまり移民です。
しかし、それは日本社会では難しいと思いますので、消去法として北欧社会のような形を目指す方が良いのではないかと思います。