ぎっくり腰の原因とは?
ぎっくり腰は医学的な病名ではなく、正式には「急性腰痛症」と呼ばれ、急激に発症した腰痛を指します。激しい痛みを伴うものの、多くは1週間から10日ほどで自然に回復していきますが、2週間以上改善が見られない、むしろ症状が悪化している、いったんは治まっても繰り返す場合は、ぎっくり腰ではなく、椎間板ヘルニアや圧迫骨折など他の病気が隠れていることがあるので注意が必要です。
ここでは知っているようで知らない、ぎっくり腰の原因、治し方、その予防法について改めて詳しく解説します。
ぎっくり腰のはっきりした原因は不明
ぎっくり腰の発症のきっかけとしてよく知られているのは「重い物を持ち上げた拍子に発症する」ケースですが、実際には「くしゃみをした時」「下に落ちた物を拾おうとした時」や、「少しお辞儀をしただけ」「ただ立ち上がろうとしただけ」など、些細な動作がきっかけで起きることもあります。
これらに共通するのは、中腰の姿勢で行う動作だということ。中腰は椎間板に圧がかかりやすい姿勢で、特にヘルニアなど腰に問題を抱えている人にとっては、トラブルを引き起こしやすい姿勢なのです。
しかし、ぎっくり腰のはっきりとした原因はいまだ解明されておらず、ぎっくり腰になった時に体の中で何が起こっているのかは実はよく分かっていません。
言い換えれば、ぎっくり腰(急性腰痛症)とは、腰椎(ようつい)椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、腰椎圧迫骨折など、はっきりした病名がつかない全ての急性腰痛の総称ともいえるのです。
ぎっくり腰だと思ったら、別の病気が隠れていることも
このようなことから、椎間板ヘルニアや圧迫骨折などの病気による痛みを、ただのぎっくり腰だろうと思って放置したり、マッサージなどの施術を受けてかえって悪化してしまったりすることがあります。2週間以上経っても症状が回復しない場合や繰り返す場合は、他の病気が原因ではないか、整形外科を受診して確認することが大切です。
ぎっくり腰と間違いやすい病気やけがとしては次のようなものがあります。
・高齢者では、骨粗鬆(しょう)症に伴う脊椎の圧迫骨折の可能性もあります。
・足のしびれなど他の症状もある場合は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症なども疑われます。
・ぎっくり腰を繰り返している人は、椎間板ヘルニアをはじめとした、背骨の病気が隠れている可能性もあります。