Google Mapsの口コミ評価が★5しかない

モスクは首都圏や中京圏に特に多いが、東北においても、青森や岩手・福島など各県に存在している。そのなかでも多いのが宮城県だ。地域で最大の都市である仙台の経済力ゆえか、Google Mapsで確認しただけでも、県内にはモスクが5つもある。

ネット上で確認すると、東北大学のキャンパス内にあるモスク(Kawauchi Mosque)や、しっかりした日本語のホームページを備えているモスク(仙台イスラム文化センター I.C.C.S)などから、明らかに民家っぽい雰囲気の手作り感があふれるモスクまでさまざまだ。

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日本のイスラム教団体「イスラミック・サークル・オブ・ジャパン」の系列モスクのリスト。この系列以外のモスクもあるので、実際はもっと多い(撮影:安田峰俊)

私が気になった大衡村のモスクはどうやら後者だが、公式サイトがあるわけでもなく、詳しい事情は不明である(ちなみに、Google Mapsのモスクの口コミは、礼拝にきたムスリムたちがどんな施設でも★5をつけて賛美の言葉を書き込んでしまうので、施設の具体的な環境がよくわからないことが多い)。

これは現地に行ってみるしかないだろう。ちょうど東北を訪れていた私たちは、ひとつ前の取材先である青森県から車を飛ばして大衡村に向かった。2023年1月9日のことである。

「何でも買取ます」の看板と七ツ森

東北自動車道の三本木スマートICで降りて現地に向かうと、「何でも買取ます」(原文ママ)、「合同会社ナワズ・シャヒーン・エンタープライゼス」と書かれた看板と大きな駐車場……というより、やけに広大な広場があった。廃車や廃バスが放置されていたりと、なかなかワイルドな場所である。

敷地内には、私の祖父母の建て替え前の家とよく似たたたずまいの民家があり、その離れの倉庫のような場所にアラビア文字でなにか書いてある。どうやらこれがモスクのようだ。

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格闘ゲームのステージに出てきそうな、オオヒラ・モスクのワイルドな立地。すごく寒い(撮影:Soichiro Koriyama)

車を降りると、冬の東北らしい澄んだ空気が心地よかった。周囲一帯は、かなり前に降ったらしい雪が数センチ積もっており、冬晴れの陽光にキラキラと映えている。南の畑の向こうにぽこぽこと見える低い山々には見覚えがあった。

通称、七ツ森。大和町にある7つの小山で、そのうちひとつの大森山は伊達政宗の狩り場だったことでも知られている(ちなみに、この山は正式には笹倉山というが、山麓に住む私の祖父母ほかの村人は大森山と呼んでいるで、私の感覚でも「大森山」である)。