嘘に嘘を重ねてカネを貢がせ続け…

Aさんの後も、男出入りが絶えなかった。

「美由紀はお客さんの隣に2〜3回付いただけですぐ男女の関係になって、カネを引っ張る寝技がうまいのよ。Aさんからは2000万円ぐらい貢がせたって話よ」(「J」のホステス)

カネを引っ張る名目は、母親が入院したとか本人も病院通いで大金がかかるというでまかせだったが、Aさんは「美由紀と一緒になりたい。女房と別れるにはどうしたらいいだろう」と周囲に相談するなど信じ込んでいたようだ。

しかし、本当に可哀想なのは3人の子供を抱えて一文無しで放り出されたAさんの妻だ。亡くなった当時は離婚も成立しておらず、子供を連れて母子生活支援センターに入らざるを得なかった。そのセンターは小学校区が「美由紀」の居住地と一緒で、子供同士が同じ小学校に通うことになってしまったという。
後に奥さんは郷里に戻ったというが、このエピソードを教えてくれた当時の同僚は、思い出したのか目を赤く腫らしていた。

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上田死刑囚の自宅(当時)

Aさんの「自殺」から約1か月後、「美由紀」はAさんの遺骨を手に鳥取市内の寺を訪れた。住職はその様子を鮮明に覚えていた。

「Aさんの両親と弟さんが書いたという、遺品に関する処分の委任状のようなものを持って『永代供養してほしい』とやってきた。戒名もついているし、ウソとは思わなかったので、受け入れました。

しかし、本人の生前の在り方が感じられないおかしな戒名でした。特に『幻』はこの世にほとんど痕跡を残さず亡くなった幼児につけるもので、何十年も生きて来られた方につけるものではありません」

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当初は月命日にお参りに来ていたというモンスターは、いつしか姿を見せなくなった。そして、次なる獲物に食いついたのだ。

(後編に続く)

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班