スナック取材で見えてきた上田美由紀という女
「不審死を遂げているのは一人や二人ではない。その中には大手新聞社の記者もいて、その女に入れ込んでからというもの、方々から金を借りまくるようになって、他社の記者だけじゃなく副知事とか県の幹部にまで頭を下げるようなありさまだった」
妻子もあったという記者がそこまで入れ込むからには、よほど美貌の女性なのか。その問いに返ってきたのは。
「いやあ。少なくとも俺には全く理解できんな。とにかく女が働いていたスナックに行った方がいいよ。結構なことがわかるみたいで、めちゃくちゃ盛り上がってるらしい」
はたして空路で急行した鳥取市の鳥取駅近くの繁華街にあるスナック「J」(仮名)を訪れると、衝撃は想像のはるか上だった。齢70を優に超えたママに、還暦オーバーのチーママをはじめ、ふくよかで貫禄のあるレディーたちが語る「美由紀」と取り巻きの男たちが織り成す物語を聞いていると、地獄と天国の境目のない魔窟に閉じ込められたような感覚にとらわれた。
「美由紀」は身長約150センチで体重70キロ超、写真のような容姿である。
少なくとも「最初」の被害者とみられているのは、2004年5月13日夜、鳥取市内を走る特急「スーパーはくと」に轢かれて即死した大手新聞社鳥取支局員のAさん(当時40代)だ。
Aさんは長崎県出身で、高卒後に速記記者として採用されたが、関西地方や中国地方の支局などで記者として経験を積んだ。1999年に赴任した鳥取支局では大黒柱の県政を任され、後輩の指導にも熱心だったという。当時の同僚は、こう証言した。