M-1では「キスは禁じ手」じゃない?
——それにしても、今大会は、ネタに点数を付けることの残酷さを改めて思い知らされました。順位をつける大会ではなく、普通のライブだったら「今日はいぬが一番ウケてたんじゃない?」みたいな感じで終わっていたかもしれないじゃないですか。でも、審査員の飯塚さんに「キスは禁じ手」と言われたこともありますし、点数が伸びず9位に終わったことで「おもしろくなかった」と見なされかねない。ここが賞レースの難しいところというか、ジレンマですよね。
有馬 決勝に出てくるほどのメンバーですから、どこもおもしろいに決まってるんですよ。でも、その中で、差をつけなければならない。みんなおもしろいおもしろいと高得点を付けていたら賞レースにならないですからね。審査員も大変なんだと思います。
——今回、14度目の挑戦で、ようやく決勝のステージに立つことができました。やっと見えたものもある反面、迷いが生じてしまった面もあるのではないですか。
有馬 キスに関しては、そうですよね。賞レースでなければ何でもありなんでしょうけど。避けるか、貫くか。どちらかですよね。
——去年のM-1で、ロングコートダディが、松本(人志)さんやオール巨人さんにもっとセンターマイクを使うべきだというアドバイスを受けました。でもロングコートダディはまったく気にしていませんでしたね。必要であれば使うし、使わない方がおもしろければ今後も使わない、と。お笑いを作る人は、そうあるべきなのかなと思いました。
有馬 ハートが強いですよね。でも、僕もめちゃくちゃおもしろいネタができて、そこにキスが必要なのであれば、たぶんやると思います。
——今年のM-1の3回戦のネタも見ましたけど、動きで笑わせる、いぬにしかできないネタでした。あれだけおもしろくても3回戦を突破できないんですもんね。M-1も、やはり厳しいですよね。
有馬 しゃべりが少ないので、やっぱり漫才になってない、ということなんですかね。
——どうなんでしょう。そうやって線を引いちゃうと、窮屈な感じもしますが。それはそうと、M-1のネタでも最後、キスをしていましたね。
有馬 もともとはなかったんですけど、キングオブコントからの流れでいちおうやっておこうかな、と。
——いやあ、おもしろかったです。めちゃめちゃ笑いました。
有馬 M-1では、まだ「キスは禁じ手」とは言われてないんで。言われるまでやりますよ。
取材・文/中村計 撮影/村上庄吾
いぬインタビュー ♯1はこちら、♯2はこちら
「キングオブコント2022ファイナリストインタビュー」
ビスケットブラザーズ ♯1、♯2、♯3
ロングコートダディ ♯1、♯2、♯3
や団 ♯1、♯2、♯3
クロコップ ♯1、♯2、♯3
コットン ♯1、♯2、♯3