「急いでいるなら階段を使えばいい」GACKTも苦言
大阪万博が開催されて約1か月が経過した5月8日、ミュージシャンのGACKTが自身のXに、万博でのエスカレーターマナーを扱った記事を引用しながら、こう投稿した。
〈以前から危ないと思っていたエスカレーターの乗り方が、やっと見直されたかという感じ〉
GACKTはさらに、「急いでいるなら階段を使えばいい」「事故を起こしては意味がない」「巻き込まれる人は迷惑でしかない」と続け、この習慣が早くなくなってほしいと訴えた。
そもそもエスカレーターは歩行を前提とした構造ではなく、製造メーカーも「立ち止まっての利用」を推奨している。片側で一人ずつ乗れば通路が狭まり、列が長くなることで、かえって混雑を助長するという調査結果もある。
鉄道各社も「歩かない」「両側に立つ」利用を呼びかけてきた。理屈も、安全面の問題も、すでに十分周知されている。それでも、なかなか改善されることはなかった。だからこそ、万博会場で見られた光景は、多くの人にとって「現状を打破する兆し」に映ったのだろう。
しかし年末、都内の主要駅を歩いてみると、目に飛び込んできた光景は今までと変わっていなかった。エスカレーターの左側だけに伸びる長い列。律儀に一列で待つ人々。その中で、「エスカレーターは立ち止まってご利用ください」というアナウンスが空しく流れている。
たまに右側を歩く人がいるが、それは急いでいるからというより、「あの待機列に並ぶのが馬鹿らしい」という空気に近い。いったいみんなは誰のために、何のために片側を空けているのかと思いたくなる。
そんな中で、名古屋市では一足先に動き出している。安全性を理由にエスカレーターの歩行を抑制する条例を制定し、2023年10月から施行。立ち止まり利用の啓発を本格化させた。













