残クレアルファード民が“残念な人”認定されるのはなぜなのか?
トヨタファイナンスが運営する「TS CUBIC」(カーローンサービス)によると、同社で自動車を購入した年収300万円未満の人の78%が残価設定型クレジットを利用しているという。年収600万円以上でも利用率は72%ほどだ。今や残クレは庶民の自動車取得に欠かせない支払い方法として広く浸透した。
仮に700万円のアルファードを、残価設定額400万円、利率3.9%で5年ローンを組んだとすると、頭金なしで月々の支払額は7万円を下回る計算だ。もし、残価設定していなければ、同様の条件で毎月の返済額は12万円を軽く超える。
手取りが20万円ほどであっても、親と同居していれば月7万円程度の返済なら何とかやりくりできそうだ。しかし、返済額が月12万円ともなればあきらめざるを得ない。「残クレアルファード」が見栄を張っていると言われるゆえんである。
しかし、残クレは残価分の金利も含めて支払う必要があるため、通常の自動車ローンを組んだ場合よりも支払総額は多くなる傾向がある。それゆえに「情弱」などと揶揄されることもあるのだ。
また、クルマの所有権はディーラーにあり、勝手に売却や下取りは行なえない。走行距離に上限を課されるケースがほとんどで、利用する自由度も下がる。「品がない」などと言われるのは、身の丈に合わない買物の結果として制約に縛られているためだろう。
要するに、残クレは欲しいクルマを気軽に購入する方法ではあるが、合理的ではないという。
しかし、背伸びしても手に入れたいという欲望こそが経済を回す原動力である。
自動車メディア「Motor-Fan」は、アルファードとヴェルファイアの購入者の意識調査(「新型アルファード&ヴェルファイア徹底解説」)を行なっており、全体の4割が残価設定型クレジットを使って支払っている。そして、購入者の4割近くは世帯年収で800万円以内の人だ。
日本自動車販売協会連合会によると、2025年10月のアルファードの販売台数は8086台で、前年同月比で22.7%増加。9月は50.2%増えていた。2025年4月から9月までにおいても、販売台数は前年同期間比2.7%増加している。同期間のクルマの総販売台数は0.5%という微増に留まっているにもかかわらずだ。
加えて、自動車価格高騰を背景にホンダN-BOXのようなコストパフォーマンスのよいクルマが選ばれている時代に、ラグジュアリーなアルファードが台数を伸ばしているのだ。













