自宅の鍵がかかっていた状態で、外部から侵入した跡はない
事件が起きたのは、西武池袋線保谷駅から北に1.5キロに位置する閑静な住宅街だった。
西東京市の住宅で午後5時30分頃、40代の父親から「誰もいないはずの自宅にチェーン錠がかかっている」「中から物音も聞こえる」と110番通報があった。
警察官が現場に駆けつけ父親と家の中に入ると、36歳の母親と高校1年の長男(16)、小学5年の次男(11)、小学4年の三男(9)の母子4人が倒れていた。その後、病院に搬送されたものの、4人全員の死亡が確認された。
自宅からは血のついたオノと包丁が1本ずつ見つかったという。
「母親と長男は2階の部屋の床の上で倒れており、飛び散った血で、血だらけの状態でした。2人には切り傷が見つかっています。次男と三男は2階の寝室のベッドの上で見つかり、血痕は少なかった。次男には切り傷が見つかったほか、首を絞められた痕が見つかりました。
搬送時には意識不明の状態でした。死因は、母親と長男は切られたことによる失血死、次男と三男は首を絞められたことによる窒息死とみられています。
自宅の鍵がかかっていた状態で、外部から侵入した跡がないことから、警視庁は無理心中の可能性があるとみて捜査を進めています」(社会部記者)
社会部記者によると、これまで一家をめぐっての通報はなく、父親は午後5時ごろ帰宅し、自宅前で20分ほど母親とLINEや電話でやりとりをしていたという。やりとりの内容は現在、明らかになっていない。
現場となった住宅のまわりには、パトカーや救急車が駆けつけ、規制線が張られた。近くに住む70代の男性は不安を隠せない様子だ。
「午後6時ごろ自宅に帰宅したら、規制線が張られていました。パトカーの方を見てみると、現場近くに住んでいると思われる人たちがこっちへ流れてきました。どうやら家に入れなかったみたいです。帰宅しようとしたら、警察官から『少々お待ちください』と止められたとか。
彼らから聞いた話によると、事件があった自宅前に停まっている救急車が揺れていて、車内で心臓マッサージをしているのが見えた。遺体の損傷が激しいのか、家全体がブルーシートで覆われていたと話していました。
住人のことは全く知りません。あそこは10年ほど前にできた一軒家だし、3つの市の境目になっているところだから、交流が薄い。自治体が違うので、ゴミの分別も違っていて接点がなくて。閑静な住宅街でめったに事件なんて起きないので、非常に怖いです」
一人は学校を休むことが多く“不登校気味”だった
近隣住民によると、亡くなった子どもの一人は学校を休むことが多く“不登校気味”だったという。事件が起きた日も、子どもの一人は登校せず自宅にいたことがわかっており、残る二人の子どもは登校していたことも警察の調べでわかっている。
現場近くに住む別の70代男性は、円満だった家族の様子をこう証言する。
「家族だんらんの様子を何度も見てきました。次男と三男がよく外でキャッ!キャッ!と遊んでいる様子もいっぱい見てきました。普通の家族ですよ。ケンカの声とかも聞こえないし、トラブルなんて聞いたこともありません。
今年の夏も、自宅前で父親が職場の人を呼んで家族とともに楽しくバーベキューをしていた様子を見ています。ほかの日は自宅前に家庭用の大型ビニールプールを設置し、次男と三男が楽しそうに水遊びしている様子も何回か目撃しています。次男と三男が小学校へ入学する前は、朝早くに両親のどちらかが自家用車で保育園か幼稚園かに送って行っていましたね」
70代男性は最後に、涙を流し両手で顔を押さえながらこう話した。
「なんでこんな悲しい事件が起きてしまったのか。近隣住民として、どうして頼ってもらえなかったのか。本当に心が痛いです。変化に気づくことができなくて、いまはただただ、申し訳ないという気持ちでいっぱいです」
警視庁は事件のいきさつを詳しく調べている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













