「現代アニメ事情2(ツー)の巻」(ジャンプ・コミックス第138巻)
今回は、両さんが様変わりした21世紀のアニメ制作事情に驚きつつも、新たな悪巧みをするお話をお届けする。
本作が描かれたのは2003年。日本におけるアニメ制作の多くは、セル画+フィルムカメラによる撮影から、デジタルによる彩色+スキャンによる取り込み、加工へと移行していた。
ちなみに現代では、紙に原画や動画(線画)を描く人はベテランに限られてきているという。
とはいっても、デジタル作画=人が描いていない絵と捉えるのは大間違いだ。特に日本の制作現場では、動きのポイントを描く原画、その間の動きを描く動画ともに、ほとんどはアニメーター=人間が行っている。本作では、動画が手書きされているのを知ってホッとする両さんが描かれているが、20年以上を経た今でも基本的な作業工程は変わっていないのだ。
一方で、動画の自動生成AIが一部で取り入れられいるのも現状だ。非常に漫画チックな表現をされてはいるものの、「ロボットが動画を描く」「キャラデザインは人工知能が担当」といった本作中での表現は、20年後のアニメ事情をなかば予言していたかのようで、いささか恐ろしくもある。
ただし、AIによる作画が圧倒的なローコスト化をはたして、アニメ産業の構図を塗り替える……という脳天気な願望は、少なくとも日本においては実現していない。
国家予算レベルの大金を注ぎ込んでアニメ制作の自動化(絵だけではなくお話まで込みで)に励んでいる国もあるようだが、エンタテイメント産業における作品制作の自動化が、はたして豊かな作品や市場を産み出すのかについては不明だ。
本作終盤近くで描かれる修羅場は、電源が落ちることによる制作環境のダウン、サーバの損傷によるデータの消失、ハッキングによる被害……といったデジタル時代のアニメ制作で現実に起きている、さまざまなトラブルを予見していると言える。
それでは次のページから、デジタル時代に突入した2000年代前半のアニメ事情を、たっぷりとお楽しみください!!



















