フロンターレと街クラブの盛んな交流
3つ目が、川崎という土地柄のメリットだ。澤田代表は言う。
「一流企業の上層部で働いている方もいらっしゃるので、年収的にも裕福な家庭が多くて。平日に(有料の塾のような)サッカースクールに通うような子もけっこういて。そういう環境もプラスに働いているかもしれませんね」
そして、4つ目がフロンターレの存在だ。
「川崎市のサッカー協会さんとフロンターレさんとが関わって、『アカデミープロジェクト』が今から10数年前にスタートしたんです。将来、川崎市で育った子供がJリーガー、要するにフロンターレの選手になれるように、という取り組みが活発化しました」
現在では、この「アカデミープロジェクト」という名称は存在しないが、それを発展させる形で川崎市の少年サッカーチームとフロンターレの関係はさらに強化されていった。特に大きいのが、フロンターレによる指導者向けの講習会だ。澤田がその恩恵を強調する。
「フロンターレさんのほうで『こういう練習をすれば、こういうスキルアップができますよ』とか『視野が広がりますよ』というようなことを指導者に向けて指導してくれていて。それを受けて、我々も練習メニューを組んで子供たちにフィードバックできています。川崎市出身の選手たちがこれだけ活躍してくれているのは、そこに原点があると思います」
フロンターレが川崎市の指導者たちに育成のノウハウを伝えるようになった。そのことが将来のプロ候補選手たちが若いころから質の高い指導を受ける素地を作り、川崎市全体の少年サッカーのレベル向上にもつながったのは間違いない。
取材&文/ミムラユウスケ 写真/Getty Images