“ゴンちゃん”の最初のGKコーチ
権田のGKとしての成長を振り返るとき、最初にあがるのは彼の父親の貢献だ。これは、さぎぬまSCとしての方針とかかわってくる。このクラブでは保護者も積極的に指導にたずさわってほしいと呼びかけているからだ。
「うちはフロンターレさんのようなところとは違い、ある種のボランティアチームという側面もあるので」
澤田代表はそう話す。当然ながら、専門のGKコーチなどいなかったが、チームで攻撃のメニューなどに取り組んでいた時間帯は、グラウンドの隅で権田の父親がGKのトレーニングに付き合っていた。
「専属のGKコーチなどいないなかで、お父さんは“ゴンちゃん”の最初のGKコーチという感じでした。それくらい熱心に取り組んでくれていました」
澤田代表が“ゴンちゃん”と愛称で呼ぶのには理由がある。澤田代表の愛息は権田のひとつ下の18期生だった。愛息の入団に合わせ、澤田代表も“お父さんコーチ”となり、そこからさぎぬまSCとのかかわりがスタートした。だから、父親とともにトレーニングに励む権田の一挙手一投足を目にする機会も多かったのだ。