小2の春に見せた、“華麗なる攻守の切り替え”
「今から17年前も前に、現代サッカーの基本となるようなプレーを小学2年生が見せていた」と聞いて、信じられる人が果たしてどれだけいるだろうか?
三笘は、8歳のときにすでに「ゲーゲンプレッシング」を見せていた――。
そんな伝説がさぎぬまSCには残っている。なお、「ゲーゲンプレッシング」はドイツ語で、英語では「カウンタープレッシング」と訳される。守備に転じたあと、相手からボールを奪い返して再び攻撃に移るために“即座に”プレスをかける動きを指す。現代サッカーでは基本となるアクションだ。
しかし、小学生のサッカーを描写する際に「団子サッカー」という言葉がしばしば用いられることからもわかるように、この年代ではみんながボールの周りに集まってしまうことが多い。小学校低学年の子であれば、その傾向はなおさら強いのだが……。
三笘の「ゲーゲンプレッシング伝説」は本当なのだろうか? 今から17年も前のことなのに、さぎぬまSCの澤田代表はハッキリと覚えている。
「あれは薫が小学2年生のとき、川崎市の春季サッカー大会という公式戦の準決勝でした。当時のチームには薫と同じくらい上手なFWの選手がいました。多くの試合では、そのFWの子がドリブルで持ち込んでいってゴールを決め、それでチームも勝ち上がっていくようなかたちでした。
そのため、薫はそのFWの子がドリブルで持ち上がっていく3mから5mくらい後ろにつくようにしていたのです。そして、そのFWの子がボールを奪われたら、薫が相手からボールを奪い返しに行き、そこから一気にシュートまで持っていく。逆に、そこですぐに奪い返せないとわかったら、今度はいち早く自陣に戻って、守りだしていたんですよ」