日本全国でも超稀少な職人技

――やめるっていうのは別の仕事をされるということですか?

いや、途中で機械を買った時に「手書きはやめてこっち覚えたほうがいいんちゃうか」と。

――なるほど、もう手ではなく機械でやっていこうと。

うん。プロッターゆうてね。ゆうたらCADみたいな、切り文字を作れるわけなんですよ。
この機械の登場が看板屋にとったら革命で、それまで文字を出力するゆうたら手しかなかったのが、こういうものができてもうた。

【スゴ技動画アリ】“即興広告”でバズらせた昭和気質な超稀少職人サインズシュウの仕事術_09
作業場の奥にあるのが「プロッター」。手書きをやめてこっちに乗り換えようかと思った時期もあったという

そもそも文字書き職人がみんな自分の技術に?マークを持ちながらやってた時代に革新的なものが出て。「これは夢の機械や」ゆうてみんな飛びついてね。僕も飛びついて(笑)
「もう(手で)書かんでええわ」ゆうてたら、嫁さんが「書かんとあかんで」ゆうて、「そうかぁ?」って。

――機械は便利なんでしょうけど、でもこうして手で書ける人は今はもう貴重になっているわけですよね。

まあ、手書きやったら(凹凸のある)シャッターとかにも書けるしな、とかね。いいところもあるんで、なるべく手を動かすように気をつけてやってきたんが逆によかったんかなと今になって思うけどね。

【スゴ技動画アリ】“即興広告”でバズらせた昭和気質な超稀少職人サインズシュウの仕事術_10
こちらも上林さんが書いた文字。凹凸のある面にもきれいに書けるのは手書きだからこそ

――文字書き職人は、上林さんや板倉さん以外に全国的にももうほとんどいないですか?

おらへんと思う。修行してる当時から僕は色んな人と知り合いたかったから、「文字書きやってる人おったら全国どこからでも連絡ください」ゆうてブログに書いたりしてたんやけど、一回も誰からも連絡なかったね。せやから、今に始まったことやなくてもう30年前には終わりかけてたんですよ。

【スゴ技動画アリ】“即興広告”でバズらせた昭和気質な超稀少職人サインズシュウの仕事術_11
こちらも上林さんの手書き文字。ビニールであろうとなんだろうと素材に合わせて塗料を選べば、書くことができるという