幼稚園児が毎日深夜2時まで勉強

かつて私は女子少年院を出た後に自殺をした18歳の女性を取材したことがある。

彼女は幼い頃から信じられないようなスパルタ教育を受けてきた。幼稚園に通っていたころから、毎日深夜2時過ぎまで勉強をさせられ、机から立ってトイレに行くことさえ親の許可が必要だったという。

中学受験には合格したものの、彼女は入学して数か月後、ぱったりと学校へ行けなくなった。燃え尽き症候群だ。親はそんな娘を毎日大声でしかりつけ、「受験料の無駄だった」「学費を自分で払え」などと言ったという。

彼女はひきこもり、ついにはリストカットをはじめた。親が無理やり止めようとすると、彼女は家を飛び出し、夜の街で売春するようになった。その間も、何度か自殺未遂をしたそうだ。そして16歳で女子少年院に入り、17歳で出院した翌年、彼女は首を吊って亡くなったのである。

死後、発見された彼女のメモには、親に対する恨みつらみが恐ろしいほど書き綴られていた。彼女は、親のスパルタ教育が自分の人生を粉々に壊したという思いがあったのだろう。

この少女ほどでないにせよ、過度な教育によって心に傷を負った子供たちは、可視化されないだけで大勢いる。昨年度、首都圏の中学受験者数の延べ人数は、少子化にもかかわらず、過去最高を記録した。本年度はさらに増加するのではないかと予想されている。

これから冬になると、受験は本格的な追い込みの時期に入る。そんな時期だからこそ、親には子供としっかりと向き合ってほしいと、心から願う。

取材・文/石井光太