スパルタ教育が見逃されやすい理由

少年院には、飯島愛さんのような少女は数えきれないほどいる。スパルタ教育の中身は、受験だけでなく、スポーツや芸術に及ぶ。彼らの心を傷つけるのは、親のこうした言葉だ。

「お兄さんやお姉さんができて、なんであんただけでできないの?」
「こんな成績でよく恥ずかしげもなく生きていけるな」
「すべては、あなたの努力が足りないだけでしょ」
「目標の成績を取るまで家から一歩も出るな」

虐待を専門にしている医師の話によれば、こうした言葉は4つの虐待の中の「心理的虐待」と同様の悪影響を子供に及ぼすそうだ。

心理的虐待は、時として身体的虐待より脳にダメージを与えるとされており、特に脳の聴覚野への影響が指摘されている。ここは聴覚だけでなく、記憶力や学習力やコミュニケーション力などもつかさどる機能であり、言葉の暴力はその発達を大きく阻むのだ。

そう考えると、過度な教育が、心理的虐待同様に子供の脳を傷つけ、様々な生きづらさを与えるのは明らかだろう。

だが、日常的な子供への罵倒や面前DV(子供の前で夫婦喧嘩を見せる)は心理的虐待とされているにもかかわらず、過度な教育はそれに含まれていない。だから、他の虐待に比べると、見逃されてしまう率が高い。