中学受験失敗がきっかけで悪の道へ

飯島愛さんはアダルトビデオの世界からタレントになった異色の経歴を持つ女性だった。

著書によれば、彼女の両親は教育に熱心で、非常に厳しかったそうだ。愛さんが幼い頃から、塾、習字、そろばん、ピアノなどを次々と習わせ、時には難解な文学作品の筆写をさせることもあった。

幼かった彼女は、親の期待に応えようと必死になってがんばった。だが、彼女の心の中には常にぽっかりと穴が開いていた。両親は勉強をしろというだけで、本当の自分を見てくれていない。成績が悪かったのを叱られることはあっても、温かい愛情を注いで人間性をほめてはくれなかったのだ。

――私のことを見てほしい。

勉強に打ち込む一方で、そんな気持ちがどんどん大きくなっていった。人生の転機は小学校の終わりだった。中学受験に失敗したことで、彼女の中で何かが切れてしまったのだ。親から見捨てられ、これまでの自分の努力が無意味だったと感じたのだろう。

それ以降、彼女は親に対して強い恨みを抱き、家出をして夜の街を彷徨いだした。そしてドラッグや売春に手を染め、アダルトビデオの世界へと引きずり込まれていくのである。