第1位:『コリン LOVE OF THE DEAD』(2008年)
制作費〝45ポンド(+ボランティア)〟、すなわち6000円前後の予算で作られたにもかかわらず、なかなかの高評価を得ているゾンビ映画が、『コリン LOVE OF THE DEAD』(2008年)だ。
ゾンビ映画といえば低予算映画、インディー映画の花形だが、それにしてもここまでの安さは珍しかろう。本作の監督であるマーク・プライスは、製作・脚本・撮影・編集を兼任している。
「ゾンビの蔓延により荒廃した世界。ゾンビからの手傷を負って感染した主人公コリンも、やはり一匹のゾンビと化す。もはやおぼろげな、何らかの記憶に突き動かされ、殺伐とした町の中を進み続けるコリン。ゾンビに変貌してなお、彼が目指しているものとは……」というストーリー。
かなりの低予算だけに粗削りな出来栄えではあり、赤く塗っただけの布切れを臓物に見立てた残酷表現など、そのチープさは否めない。だが一方で、理性を失い人肉を食すようになってすら、あるひとつの目的のために懸命に歩き続けるコリンの姿は哀しく、絵面のチープさを補って余りあるドラマ性が感じられる。
万人向けではないだろうが、決して侮れない一本だ。
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意外な名作から規模相応の凡作・怪作まで、ほかにも無数の低予算映画が、世の中には溢れ返っている。たまにはそんなタイトルを観てみることで、新たな知見が広がるかもしれない。
取材・文/知的風ハット