『第三の男』(1949)The Thid Man/上映時間:1時間45分/イギリス

アメリカの売れない西武劇作家ホリー・マーチンス(ジョセフ・コットン)は、親友ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)からの仕事の依頼を受け、ウィーンにやってくる。ところが到着すると、自動車事故により前日にハリーは亡くなったと告げられる。関係者を調べると、現場には謎の“第三の男”がいたことが判明。ホリーは親友の死の真相を突き止めるため、調査を開始する……。「第二次大戦後の廃墟となったウィーンが舞台になっているのですが、雨降って石畳が光っている夜のシーンは、言葉にならないほど美しい。光と影の芸術と言えます」(戸田)

ジョセフ・コットン Joseph Cotten
1905年5月15日生まれ、米ヴァージニア州ピーターズバーグ出身。1930年にブロードウェイデビューし、1936年にオーソン・ウェルズの劇団に参加。その後、映画『市民ケーン』(1941)で映画デビューを果たした。『偉大なるアンバーソン家の人々』(1942)、『恐怖への旅』(1942)、『ガス燈』(1944)など話題作に出演。ジェニファー・ジョーンズと組んだ『白夜の決闘』(1946)『ジェニーの肖像』(1947)『旅愁』(1950)では、二枚目俳優として人気を博した。多くの作品でタッグを組んだオーソン・ウェルズとは、生涯親友として交流があった。1981年、88歳で逝去。

語り/戸田奈津子 アートワーク/長場雄  文/松山梢