スーパー買収にも意欲を見せる

ヨーク・ホールディングスがセブン&アイから切り離され、選択と集中が進んだことのメリットは大きかったようだ。

セブン&アイの2024年度における国内コンビニエンスストア事業の売上は9041億円だが、営業利益率は約26%と驚異的な収益性を保っていた。いっぽう、スーパーストア事業の売上は1兆4321億円あったものの、営業利益率はわずか0.7%である。

スーパーマーケットの営業利益率は平均1~2%ほどだ。ヨーク・ホールディングスは2025年度の営業利益率が3%だった。一般的な水準と比較をすると驚くほど収益性が高まってはいるが、仮にセブン&アイの傘下にあった時代に0.7%から3%に引き上げたとしても、会社全体にとっての恩恵はそう大きくはない。経営陣は、どうしてもコンビニ事業を大きくすることに目が向いてしまうのだ。

食料品や総菜など日常使いの売り場が今後のカギを握る(写真/shutterstock)
食料品や総菜など日常使いの売り場が今後のカギを握る(写真/shutterstock)

ヨーク・ホールディングスの売却額は8147億円。M&Aでは借入をするのが一般的であり、ベインキャピタルの持分も100%ではないため、出資した額はこれより小さいとみられる。しかし、巨額の投資をしているのは間違いない。ベインは将来的にはヨーク・ホールディングスの上場という青写真を描いているようで、収益性の向上に力を注ぐのは当然である。

こうして見ていくと、V字回復には2つの主要因として、「構造改革」と「選択と集中」がある。

アメリカの金融メディア「ブルームバーグ」は7月7日、ヨーク・ホールディングスが2年半以内にスーパーを買収する可能性があると報じた。ベインのパートナーでありヨークの取締役でもある西直史氏が語ったものだという。

買収した企業の経営合理化を進めた後に出店や買収によって拡大へと転じるのは、投資ファンドによる企業価値向上施策の典型的な手法だ。さらなる成長に向けた次なる一手に期待が高まる。