マリーヌ・ルペンは愛国者か、それとも極右か?
極右の定義を踏まえたところで、現在の「穏健化」した国民連合はなお極右に分類されるのか? という問いに戻りたい。かつてジャン=マリー・ルペンが率いた国民戦線は、他国と比べても早い段階で大衆政党モデルをある程度成功させた、典型的な極右政党であった。福祉排外主義や移民の強制送還を訴えるほか、露骨な人種差別発言――党首による「ホロコーストは歴史の細部」といった反ユダヤ主義的発言など――も目立っていた。
では、こうした露骨な人種差別や反ユダヤ主義が鳴りを潜めた、娘マリーヌが率いる国民連合は、依然として「極右」と呼べるのだろうか。注目すべきは表面的な言動ではなく、その政策が先述した①ネイティヴィズム②権威主義③ポピュリズムの三要件を満たすのか否かだ。
結論から言えば、今日の国民連合は「穏健化しても中身は極右」である。
まず、国民連合の政策は「国民優先(priorité nationale)」を打ち出すネイティヴィズムに根ざしている。
具体的には、雇用や公営住宅、社会給付においてフランス国民を優先する原則を憲法改正(国民投票)によって導入しようとしている。また、難民申請の域外審査の導入、家族呼び寄せの制限、外国人犯罪者の追放の容易化など、移民の受け入れと権利を大幅に制限する方針を掲げている。
さらに、その政策には強い権威主義的傾向がある。国民連合は治安を重視し、街頭の安全や学校での規律回復、犯罪への厳罰化を訴えている。さらに治安の問題を「移民による犯罪」と結びつけることで、外国人がフランス社会の秩序を脅かしているというイメージを形成する。つまり、社会秩序問題は厳格な権威の回復と移民の排除によって解決されるべきだとする考え方がそこにはある。
最後に、「人民」を主体としたポピュリズムも認められる。憲法改正を国民投票によって実現し、国民優先や移民規制を導入しようとするが、これは既存の立憲秩序を迂回するものであり、憲法学者からは「憲法クーデター」と批判されるほど危険な手法である。
このように、国民連合の中核には依然として極右(急進右派)を特徴付ける3つのイデオロギーがある。その政策もせいぜい前身である国民戦線の「化粧直し」にすぎず、多少外見や髪型が変わってもその中身は変わらないのだ。













