「養われる側」からの逆転劇。支える“王子”
帰国後、彼女はシングルマザーとして再起を図る。かつての“愛人時代”に培った品格と、上海で学んだ表現力を武器に、自らを「プリンセス研究家」と銘打って活動を開始したのだった。
現在は自身の事務所「プリンセスLABO」を主宰し、ドレス着用レッスンやマナー指導を行いながら、「パラレルドリーム プリンセスショー」に出演。子ども向けイベントを中心に、全国各地でプリンセスとして舞台に立っている。
かつては年上ばかりだったサリーさんの周りの男性たちだが、今は自分より若い世代がほとんど。ただ彼らの動機はユニークで——。
「つらいときでもずっと1番近くでささえてくれている王子さまの口癖は『僕はプリンセス研究家の研究家です』って。忠誠心が高くて、本当に助けてもらってます」
“愛人時代”に学んだプロトコルマナーを、サリーさん独自のマナー講座で教え、ダンス講師と上海時代に培ったホスピタリティをイベントに来てくれた子どもたちやその家族に届けている。それはまさに、彼女の人生そのものをアウトプットしていると言える。
そんなサリーさんの原動力とは何か。
「全国の商店街やイベントでプリンセスショーを行うと、子どもたちがキラキラとした表情でよく笑ってくれるんです。それだけじゃなくて、ふと見てくれたお年寄りの方から『元気が出るね』と声をかけていただくことがあるんです。そう思ってもらえることが今の私の原動力になっていると思います。何回もやめようかなと思ったけど、私にはこれしかないから」
芦屋のお嬢様、愛人、夫の失踪、海外でのダンサー経験。波瀾万丈な肩書きをすべて脱ぎ捨てた後に残ったのは、ピンクのドレスをまとった一人の女性の、揺るぎない誇りだった。
取材・文/木原みぎわ













