「金太郎、揺れる。」(集英社文庫・コミック版9巻収録)
金太郎が将来の社長候補に?
会社には、ときどき「まだ役職は高くないのに、なぜか周囲が将来のトップ候補のように扱い始める人」がいる。
正式に後継者と決まったわけではない。それでも、上司の目のかけ方や社内の空気から、同僚たちは何かを察し、期待を寄せ始める。『サラリーマン金太郎』第83話では、まさに金太郎がそんな空気の中心になる。
美鈴と結婚した金太郎は、この回で係長に昇進する。入社6年、大学も出ていない叩き上げの男が、大企業の中でここまで来た。その時点で十分すごいのだが、周囲の反応は単なる昇進祝いでは終わらない。同僚たちは、金太郎がいずれヤマト建設のトップに立つのではないかと話し始めるのだ。
実際、金太郎はヤマト建設が乗っ取られかけた局面で会社を救ったばかり。仕事で結果を出し、社長にも会長にもかわいがられている。社内の見え方としては、将来を期待されても不思議ではない。だから同僚たちも「俺はお前についていく」「お前は俺たちを背負ってるんだぜ」「お前が頭を取れば、俺たちも役員だ」とまで言い出す。
金太郎自身は「そんなことあるわけない。俺、サラリーマンで十分ですよ」とたじろぐ。だが、こうした期待はもう、本人が否定したから消えるものではない。
会社で出世するとは、自分一人の問題ではなくなることなのだ。肩書きが上がるとは、それだけ周囲が勝手に夢を託し、期待を背負わせ始めることでもある。第83話は、そんな“出世の空気”がよく出た一話である。
だが、そんな金太郎に、思わぬ落とし穴が現れる。それは漫画で確認してほしい。























