自ら美容整形を500回、下半身も当然……

──その後、韓国国内への技術移転はどのように進んだのですか。

術後のメンテナンスで、お客さんが韓国から繰り返し来日する必要があって、それは大変だから、日本で手術をした後は、韓国の医師がメンテナンスをやって、儲けなさいということで現地の医師たちにマージンを渡していたんです。

それがだんだん広がっていくと、気がついたらクライアントが来なくなってしまった。彼らは自分たちで手術をやり始めたわけです。

取材は、銀座にある高須クリニックで行なわれた
取材は、銀座にある高須クリニックで行なわれた

──悔しくなかったのですか。

いやいや、僕が韓国美容外科の父ですから。韓国美容外科学会がはじまったときに名誉会長に招いてくれましたよ。そりゃそうですよね、会長も僕が教えた人間ですから(笑)。

──先生ご自身も美容整形を500回くらい受けているとのことですが、下半身のほうは?

下半身も全部やっていますよ。お客さんに自分のものを見せて「こうなりますよ」と説明すると、感心して「俺もやってくれ」と。クラスメートや友人をはじめ、偉い人たちのもたくさんやりましたよ(笑)。

──下半身の手術にはどんな種類があるのですか。

包茎が一番多くて、次が早漏。それから亀頭だけ大きくするもの、蛇腹を作るもの、イボイボを作るもの、あらゆる手術がありましたよ。

昔はカタログまで作っていたんだけど、今はもう捨てられてしまったかな。息子の嫁が来て医院を経営するようになってから、そういう過去のものはだいぶ片付けられてしまいました(笑)。

医者一族から縁を切られそうに

──自分でも受けてきたからこそ、患者の気持ちがわかるということでしょうか。

当たり前ですよ。自分でやってみないで「大丈夫ですよ」なんて言えないでしょ。痛みも、術後の感覚も、全部自分で経験しているから。それがあってこそ、患者さんに本当のことが言えるんですよ。

──最後に、半世紀以上この世界を歩んできて、今どんな思いでいらっしゃいますか。

かつては健康な体にメスを入れるなという価値観が圧倒的で、美容整形をはじめるときには、医者一族から縁を切られそうにもなりました。悪者にされたこともあったけど、気がついたら、自分がやってきたことが全部標準になっていた。それだけのことですよ。

銀座の高須クリニックの応接室。数々の褒章が並ぶ
銀座の高須クリニックの応接室。数々の褒章が並ぶ
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取材・文/全夏潤 写真/松井秀樹

<プロフィール>
高須克弥(たかす・かつや)
1945年1月22日生まれ。日本の美容外科医・医学博士。美容外科「高須クリニック」院長。昭和大学医学部卒・同大学院修了後、イタリア・ドイツで美容外科を学び、日本に脂肪吸引手術を普及させた。江戸時代から続く医師の家系。藍綬褒章受章。