「金太郎、窮境!」(集英社文庫・コミック版9巻収録)

プライベートの問題が仕事にも飛び火

会社では、仕事ができる人間ほど、意外なところから足をすくわれる。能力そのものではなく、私生活の隙や評判から、あっという間に出世コースから外れてしまうこともある。

『サラリーマン金太郎』第86話は、まさにそんな怖さを描いた回である。

新婚の金太郎は、川井会長の孫・千秋との関係を、うやむやなまま引きずっている。一線こそ越えなかったものの、千秋は金太郎の会社まで会いに来て、駅まで一緒に帰るだけでなく、腕にも自然に絡みつく。

金太郎はそれを特にたしなめない。だが、その様子を同僚たちに見られ、さらに大場にも見られてしまう。

会長の孫娘の夫としてヤマト建設に入ってきた大場は、礼儀正しく有能で、社内ではすでに“後継者”の空気をまとっている。だが、大場が入ってくる前は、金太郎こそ将来を期待される存在だった。そんな大場は、金太郎と女性が歩く姿を見るや、すぐに「相手の女を調べておけ」と命じる。ここで一気に、女問題が会社の中の弱みに変わる。

一方で、金太郎の妻・美鈴のもとには、川井会長から「お前の亭主がわしの孫娘をたらし込みおった」と電話が入る。女問題は、ついに家庭にも火をつけ始めるのだ。

仕事ができることと、会社で生き残れることは、必ずしも同じではない。会社員にとって私生活の隙は、ときに仕事以上に危険な火種になる。美鈴の怒りの表情は、ぜひ漫画で読んでほしい。